2011年3月15日火曜日

原子力発電所での事故対応訓練

大震災でお亡くなりになられた方に、
心よりお悔やみ申し上げます。
ご冥福をお祈り申し上げます。


以下
http://www.nuketext.org/manual.html
原子力防災について ーヨウ素剤 Q & Aー

1986年4月に旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所で大事故がおき、

旧ソ連国内だけでなくヨーッロッパ各地も広く放射能で汚染されました。

その汚染は現在もなお続いています(今も続く原子力事故参照)。

原子力防災の対象とする防災はいうまでもなくこのように

長期間続く汚染に対するものではありません。

事故直後に放出される放射能による被ばくから
いかに逃れるかの方策を示したものです。

日本では1999 年にJCO 事故がおきるまでは、
原子力事故はおきないという立場をとっていましたので、
原子力防災法を制定しないままに原子力発電を続けていました。

しかしJCO事故以来政府も原子力事故は起きる可能性がある
のだとやっと認識を改めました。

そして2000 年末に原子力災害対策特別措置法(原災法)が
制定されたのです。

それでは、この原災法はどんなもので、
被ばくから逃れられるように計画されているのでしょうか。

ここでは原災法の問題点と個人でできる防災マニュアル、
東海村の小学校の防災訓練の様子と、
放射性ヨウ素による被ばくを防ぐためのヨウ素剤に関するQ&A をまとめてみました。

防災体制の線量基準

図1 (省略)には防災体制が動き出す線量基準が示されています。

原子力施設でなんらかの異常がおき、

空気中の放射線量が通常の約100倍の

毎時5マイクロシーベルト(5μSv/h=0.005mSv/h)になった時に初めて、

原子力施設から県や市に異常がおきたと通報する義務が生じます。

それからさらに線量があがってゆき、
平常時の1万倍(500μSv /h=0.5mSv/h)になった時に

緊急事態宣言が出され、

原子力災害現地対策本部がオフサイトセンター内に設置されます。
 ここで、住民を屋内退避させるのか、
避難させるのか、避難させるのならば、
どの方向に、
どのように避難させるのかの

具体的協議が始まります。

この500μSv /h(図の0.5/時)という線量は、

その場所に2時間いただけで、
1年間の公衆の被ばく線量限度に達します。

全身の被ばく線量が10から50mSv になると予測されるときになって

屋内へ退避、それ以上で避難となります。

このような計画では、

「原子力緊急事態宣言が出された段階では、
既に住民の生命、身体に被害が生じているおそれがある」

と、原子力災害対策特別措置法解説にも記載されています。

オフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)の役割と現状

 原子力緊急事態が起きた時には防災の指令塔になる

原子力災害現地対策本部が設置されるところです。

原災法が制定され、これに基づいて各地(全国で21か所)に設置されました。

オフサイトセンターは原発からの距離が20キロメートル未満に設置すること、

交通手段(道路・ヘリポートなど)を確保すること等

が決められています。

事故の時の風向きによっては

オフサイトセンター自身が避難対象地域に入り
使用不能になる可能性があります。

その時には第2、第3のオフサイトセンターが必要ですが、
第2オフサイトセンターの指定がなされているのは、

3県(宮城、新潟、茨城)にすぎません。

対策本部の設置が出来なかったらどうするのでしょうか。

EPZ: Emargency Planning Zone (防災対策を重点的に実施すべき地域)

 事故が起きた場合に原発周囲8から10km圏がEPZに指定されます。

避難や屋内待避等の防災対策を重点的に充実するべき範囲です。

大きな事故を想定すると、

避難や屋内待避等の防災対策が必要な範囲が10kmでは狭すぎるのではないか、
30kmまで広げるべきだという見解もあります。

チェルノブイリ事故の時には半径30km以内の人が立ち退かされました。

 今話題になっている鳥インフルエンザが発生すると、
その周囲30kmの鳥と卵は移動禁止になります。

原子力事故の深刻さを考えると、10kmというのはいかにも狭いと思いませんか。

茨城県の防災訓練

 日本には52基の原発があります。

その中のどの原発に事故が起きても
放射能の被害を受けないといえる所はないでしょう。

またウラン核燃料、使用済み核燃料の輸送中の事故を
考慮すれば、どこにいても原子力災害から無縁ではありません。

事故が起きた場合にどうするか。

 2001 年9 月に茨城県で、原災法が制定されてから
初めての防災訓練が行われました。

「核燃サイクル開発機構再処理施設で臨界事故が発生し、
希ガス、ヨウ素の放出が続いている。

このまま臨界が継続し24時間続けば、

2km までが、50mSv をこえ、

風下4km までが屋内退避をする線量10mSv を超える」

という事故想定でした。

避難訓練の行われた照沼小学校は、

事故現場から1.2km。

当日の風速が毎秒4mの風下でしたので、

放射能雲が到着するのにわずか5分の距離です。

(この距離と風向きから考えると避難訓練は
放射能雲の下で行われたことになります)。

事故発生を知らせる馨報がなり、

小学生はハンカチをマスクの下に入れ、

タオルで頭から首を覆い、

非常用のバックを背負い、

教室から校庭わきに停車していたバスに向かって走ってきます(図省略)。

低学年から順番にバスに乗り込み、

パトカーに先導され、

30分かかって事故現場から4.4km風下の避難場所と指定された
総合体育館に着き、順番に体育館の中に入るまで、

さらに10分程度時間がかかります(図省略)。

名前などを書類に記入し、
被ばくしているかどうかサーベイメーターで調べてもらいます。

もし被ばくしていれば体育館の外に設置されている除染テント
の中で汚染部分を洗います。

避難する人すべてが防護服を着るのが望まれますが、
それは不可能です。

放出された放射能の程度によっては、
このくらいの防護服を着ていても被ばくを免れるという保証はありません。

多くの原発立地県ではコンクリート建ての体育館や公民館が
避難場所に指定されていますが、その気密性は良くありません。

その上多くの学童や住民が避難してきますから

戸を閉めきっておくわけにもいきません。

従って避難場所に入ったから安全とはいえないのです。
 東海村では学童や住民を避難させるための交通機関として、

バスあるいは自衛隊のトラックが考えられています。

もし放射能汚染がひどい場合には、

汚染地に民間のバスを送り込むことになります。

しかし、これを強制することは出来ません。

首相命令で動かせることが出来るのは自衛隊です。

自衛隊のトラックは幌付きですが密閉性はありません。

その上、住民全体を運ぶには数が足りません。

具体的に考えると輸送手段一つとっても多くの問題があります。

放射能から身を守るために
 日本の防災計画はチェルノブイリのような大事故は起こらない
ことを前提としていますから、
大事故が起きた場合には現在の防災計画では対処しきれません。

大事故の場合は防災計画は無力だという考え方もあります。

しかし、少しでも被ばくを減らすために個人として、
あるいは学校単位でできる方法はないのでしょうか。
ここではその方策を紹介します。

詳しくは、『原発事故・・その時あなたは!』を参照して下さい。

1.まず大切なことは、事故が起きたことをできるだけ早く知ることです。

原子力事業者・自治体も正確な情報をいち早く一般に
流さなければなりませんが、これは往々にして遅れて知らされます。

原子力施設の周辺にすんでい る人は日頃から施設の様子の変化

に注意していることが必要です。

そして放射能雲が通過するまえに逃げることです。

方向は原発から風下に向かった線の直角方向に逃げることが一番です。

2.放射能雲が通過している時に、
外にいることは危険です。

家の中に入り、窓を閉め、空調を止め、隙間に目貼り
をして気密性を保ちます。

3.ヨウ素剤は事故が起きたと知ったらすぐに飲むのが効果的です。(ヨウ素剤Q&Aを参照)

4.放射能雲が通過している時とその後しばらくは、
屋内にいても8枚くらい重ねた濡れたタオルをマスクにします。

地下室があれば地下に集まった方がより被ばくを避けられます。

5.事故の知らせがあったら、
なるべく多くの容器に飲料水を貯めて、
すべてにふたをします。
保存食を確保します。

6.雨や雪が降ると放射能汚染は高くなります。
放射能が雨や雪にくっつきやすいからです。
雨には濡れないこと、雪がついたら払うことが大切です。

7.服装はなるべく気密性の高い服で皮膚全体を覆うことです。
一般の人には図7のような装備ができませんので(図省略)、
なるべくこれに近づくように、持っているもので工夫します。(図8省略)。

ヨウ素剤 Q & A

 ヨウ素剤について一般的な知識をQ&A 方式でまとめてみました。

Q1)なぜヨウ素剤を飲むの?

A: 原子力施設に事故がおきた場合、
いろいろな放射性物質が施設から放出されます。

放射性ヨウ素もその中の一つです。

放出された放射性ヨウ素は、
呼吸や食物とともに体の中に取り込まれ、
甲状腺に集まります。

そのため甲状腺癌の原因になるおそれがあります。

これに対し、前もってヨウ素剤をんでおけば、
放射性ヨウ素が甲状腺に集まることを防ぎ、
尿や便から排出されて、
発癌の危険性(リスク)を低減することが出来ます。

Q2)どんな時にヨウ素剤をくばるの?

A: 事故の規模などから計算して、

甲状腺の被ばく線量が100mSvをこえると

予測されたときにくばられます。

Q3)100mSv の被ばくを受けるのは
大気中にどのくらいの放射性ヨウ素がある場合?

A: 大気中の放射性ヨウ素が

4,200Bq(べくレル)/m3 の場合
24 時間その空気を吸入することによって
小児甲状腺の被ばく線量が100mSvとなると予測されます。
注ー1:チェルノブイリ事故で甲状腺がんになったのは
主に子供でしたから、子供には予測被ばく線量が低い場合
でもヨウ素剤を与える方が望ましといえます。

注ー2:小児が甲状腺癌になりやすいことを考慮して
ベルギーでは、0 から19 歳までの若年者、妊婦、授乳婦は10mSv、
オーストラリア(0 から16 歳、妊婦、授乳婦)、
ドイツ(0 から45 歳)、
アメリカ(0 から18 歳、妊婦、授乳婦)では50mSv
を超えると予測されたときにヨウ素剤を服用します。

WHO も若年者に対しては、
予測線量が10mSv を超える場合に服用することを推奨しています。

注ー3:各国のヨウ素剤を配布する予測線量、
配布場所などに関しては最後にまとめてあります。

Q4)ヨウ素剤はどこでくばるの?

A: ヨウ素剤は各避難所などで配られます。
注ー1:配る場所は地方によって事情が異なりますから、
一様ではない可能性があります。

普段から保健所などに問い合わせておくと良いでしょう。

注ー2:平常時に、あらかじめ各家庭に配ることはしないと決められました。

しかし、これはまだ検討の余地があるそうですから、
自治体などで交渉してみるとよいでしょう。

Q5)ヨウ素剤はいつ飲むのが効果的?

A: ヨウ素剤は放射性ヨウ素が体に取り込まれる以前、
または直後にむのが効果的です。

この時期にのめば甲状腺にたまる
放射性ヨウ素の90%以上を抑えますが、
放射性ヨウ素が摂取された後4 時間以内
では抑制効果が50%に落ち、
6 時間以降であれば効果はほとんどありません。

放射性ヨウ素は呼吸により気管支や肺から、
また口から入ったものは消化管から吸収され血液の中に入ります。

このように取り込まれた放射性ヨウ素の10 から30%は、
24 時間以内に甲状腺に集まり、
残りの大部分は尿から排出されます。

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